ライザップ第10回目(2):遂に宣言「糖質制限終了!」トレーナーの反応は…[第1期:糖質制限終了]

糖質制限の仕組みを振り返ることで気が付いた、 体重や体脂肪が減らない理由と、それを裏付ける科学的根拠。

この2つを引っ提げ、私は10回目のセッションを受けるため、そして「糖質制限終了!」を宣言するためにライザップへ向かいました。

糖質制限中に糖質を大量摂取すると体重が爆上がり…する?

いつもどおり、InBodyで確認したライザップ第10回目セッションの体組成データ。

ライザップ第10回目セッション:体組成データ

実はこのセッションの2日前、私は会社でもらった大きなどら焼きを6個、自宅でたいらげていました(笑)

会社でもらったものの、「糖質制限中だしどうしよう。でも、賞味期限が3日しかないしなぁ…」と逡巡して自宅に持ち帰ったのですが、自宅で遺伝子検査の結果を発見したことで「もう糖質制限は終了!どら焼き食べるぞ~~!!」と自己判断でガッツリ6個、完食したのです。

糖質制限中の人が糖質を摂ると、一気に水分が戻って体重が爆上がりすると言いますが…

前回(第9回目)と今回(第10回目)の比較。

RIZAP第9回目と10回目の体組成データ比較
項目前回値今回値差分
体重63.1kg63.4kg+0.3kg
体脂肪率34.5%35.0%+0.5%
脂肪量21.8kg22.2kg+0.4kg
筋肉量38.8kg38.8kg±0.0kg
体水分量31.2kg31.5kg+0.3kg
BMI25.926.1+0.2

一般的に、糖質が枯渇した状態の身体に大量の糖質を入れると、ここぞとばかりに身体が糖質を積極的に取り込むと言われています。久しぶりに入ってきた糖質を余すことなく取り込めば、当然糖質1gにつき3g分の水も蓄えられるので体重も一気に増えてしまうもの。

どら焼き1個あたりの糖質量が40gだったとして、6個で糖質240g。これに3倍の水720gを足して合計で960g、おおよそ1kgは体重が増えていておかしくない。にもかかわらず、実質増えたのはたったの300g。いつもどおりの誤差の範囲レベル。

糖質制限をしていた今までだってこの程度の、いや、これ以上の増量をしてたことがあるんだから、全然問題ない

むしろガッツリ糖質を摂ったのにこの程度しか増えていないのならば、本当に糖質の代謝力はばっちりで、脂質を控え気味にし始めたから増量もこの程度で済んでいると言えるのでは?

遂に宣言。「糖質制限、効かないからもうやらない」

爆増しなかった体重データに内心にんまりしながら、私は今回の体組成データを記録シートに書き写している真っ最中のトレーナーに向かって口を開きました。

「あ、そうそう。どら焼き食べました!」

ピタ、と動きを止めるトレーナー。

「会社で上長から直々にもらっちゃって、さすがに『いりません』とは言えなくて」

「あぁ…食べちゃいましたか。。。まあ、上司からだと断りづらいですよね」

「ええ!」

あなたは会社でライザップ宣言してないんですか?とか、それでもなんとか回避する方法あったでしょ?とか、トレーナーの脳裏にはいろいろな言葉が浮かんでいたのではないかと思いますが、我がトレーナーは「なんで食べたんですかっ!」と怒るタイプではなかったようで。

「ちなみに、いくつ食べたんですか?」

半分くらい?1/3くらい?

祈るような目で見るトレーナーを見据えて、ニッコリ笑う私。

6個

「6個?!」

ギョッとしたように目を剥くトレーナー(笑)

「はい、6個です!だって賞味期限短かったし、いくらなんでも捨てるのはちょっと抵抗あるし。美味しかったです(^▽^)」

「……もったいないっ!せっかく糖質制限頑張ってるのにっ!!6個…」

天を仰ぎ、少々芝居がかった大げさな身振りで崩れ落ちるトレーナー。

「いやいやいや。散々糖質制限してて、ろくに落ちてないでしょw」

ちょっとオーバー過ぎませんかね、そのリアクションw

「それでね。糖質制限、やめます

「?」

ぱちくり。

一体何を言い出すんだ?な顔のトレーナーに、私は勢いよく畳みかけました。

「昔ダイエット遺伝子の検査を受けてたことがあったんですが、その結果が出てきて『脂質の代謝が苦手。チーズやバターは避けましょう』になってました。糖質制限って、糖質の代わりに脂質をエネルギー源とするわけでしょ?脂質の代謝が苦手でケトン体出辛かったら、糖質代わりにいくら脂質を摂ったって意味なくないですか?代謝しきれなかった分は脂肪に変わるし、エネルギーは足りないし。実際、ずっと糖質制限続けてても全然体重減ってないし。だから、もう糖質制限はやめて、カロリー制限…というか脂質制限にします!あ、なのでもう食事アドバイスしなくていいですよ」

ぜぇ、はぁ。

目を丸くしているトレーナーに口を挟む隙を与えず、一気に言い放ったわたくし。緊張のあまりちょっと早口だったような気がします。

まだたった10回しか顔を合わせていない状態で、担当トレーナーがどんな反応を示すかなんて当時の私には全く予想がついておらず、心臓はバクバク。

ライザップ・メソッドである糖質制限を否定されたトレーナーが、「はあ”?」と怒るか、「それでも糖質制限しかありません!」とアホなことを言い張るか、「あ、そーですか。だったらお好きに」と不貞腐れるか。その反応次第で、残りセッションがものすごく気まずいものになる可能性は、大。

でもとにかく、遺伝子検査の結果という揺るがない証拠がある以上、そして1ヶ月糖質制限を続けても全くライザップらしき成果が出ていない以上、私には引き下がる意思は全くなく。

ほんの少しへっぴり腰になりながらも、気分だけは「かかってこいよ~」な強気モード(笑)

ただ、自分がやろうとしている脂質制限(カロリー制限)がライザップ・メソッドから外れたものである以上、担当トレーナーからのサポートはもう受けられないもの、との覚悟は固めてありました。

糖質制限の食事管理なんかもう要らない。だけど筋トレの指導者としては悪くないから、残りセッションの筋トレ指導だけはよろしく。正しいフォームの指導をしてくれさえすれば、それでいい。それだけでいい!

それ以上のことは、私を痩せさせてくれなんてことは、ライザップにはもう求めない(キッパリ)。

さて、担当トレーナー。どう出てくるか。

その叫び、正直な本音だろうけどツッコミたい

突然の「糖質制限終了。脂質制限開始」宣言を受けた担当トレーナー。

「脂質代謝が苦手、ですか…?」

早口で捲し立てた私の言葉を反芻し、その意味を理解するのに数瞬を要し………

「脂質の代謝が苦手なら……カロリー制限、脂質制限の方が良いかもしれませんね」

へ?(・・?

あ、あれ?怒ってない?

我が担当トレーナー、「糖質制限」を否定されてイラつく気配なし?

ファイティングポーズを構えていた私、盛大なる肩透かしを食らって一瞬状況が掴めず。

「脂肪の燃焼には、3つの段階があります。1つ目は、脂肪の分解。2つ目が脂肪の運搬。脂質を燃焼させられる工場はミトコンドリアだけなので、分解した脂肪をミトコンドリアに運び込んでやらないといけません。そして3つ目がミトコンドリア内での燃焼です」

“けっ、ライザップのトレーナーなんて、やっぱり脳筋よね”と心の中で悪態をつく気満々だった私を置いて、トレーナーはすらすらと脂質代謝の仕組みを説明し始めました。

「脂質の代謝が苦手なら、摂っていただきたいサプリはL-カルニチンと、CQ10と、αリポ酸です。L-カルニチンは…」

はっ!Σ( ̄口 ̄*) 待って、待って、待って!!メモるからっ!!!

「ペン、借りていいですか?」

「はい。どうぞ」

な、何が起きてるんだ?!このトレーナー…ほんとにライザップのトレーナー?!

イラつく素振りもなく、怒りの気配など影も形もなく、どちらかというとどこか「納得」感すら漂わせて、担当トレーナーは“立て板に水”の如く「脂質代謝とは」の講義を始め、先程とは逆に今度は私が目をぱちくりさせながら、必死でその説明内容やサプリの名前をInBody用紙の裏に書き留めることに。

  • 分解した脂肪の運搬を助けるサプリはこれ
  • ミトコンドリア内で働けて代謝upを助ける物質はそれ
  • 手に入りやすいお馴染みのサプリにはこんな働きが
  • 脂肪燃焼を助けるこのスパイスは鶏肉の味付けに使うといいですよ
  • このサプリは手に入れづらいと思いますが…
  • 脂質制限なら、PFCバランスは4:2:4にしましょう

などなどなどなど。

ライザップ・トレーナー用のマニュアルを確認するでもなく、カンペを取り出すこともなく、トレーナーの脳内からスラスラと取り出されてくる脂質制限対策。

脳筋じゃなかったんだ(^。^;) 良かった。脳筋扱いしてて申し訳なかった!

まさか、私の担当が「当たり」だったとは思ってもなかった。「筋トレ専用トレーナー」に格下げされていたトレーナーへの評価が、私の中でうなぎ上りに上がっていきます。

「その遺伝子検査ですけど、脂質代謝のどの部分が弱いかまで分かりますか?」

「え?いや…さすがにそこまでは無理かな。。。4000円ぐらいの検査だし…3万とか5万とかするもっと本格的な検査だったらもしかしたら分かるかもしれないけど」

「そうですか…。そこが分かるともっと良いんですけどね」

そりゃ確かに。1.分解、2.運搬、3.燃焼、のどこが特に弱いかが分かれば、そこを集中的に補助して体脂肪の燃焼効率を劇的に上げられるかもしれないのは分かる。

けど、DHCの検査結果では「脂肪の燃焼効率が悪い」としか書いてなくて、それが<3.燃焼>の工程を指すのかどうかはちょっと不明。

「自分への投資ということで、調べてみるのもありかと思いますけど…」

「そうかぁ…脂質代謝が苦手でしたか」とブツブツ呟きながら、何気に爆弾発言をするトレーナー。

いや、ちょっと待て…(笑)

自分への投資って言うか、あのさ、それさ…あなたがめちゃくちゃ気になってるだけでしょ?!「好奇心がウズウズ」ってトレーナーの顔に書いてある!(爆笑)

ゲストをダシに、己の知識を深めようとするライザップ・トレーナー(笑)

いいんですけどね。そういう好奇心旺盛で向上心が強くて知識習得に貪欲な人、私は嫌いじゃありません ( ̄▽ ̄)ノ"

一通り、脂質代謝の仕組みと必要なサプリの講義と質疑応答を終え、「このゲストの体重・体脂肪率がこんなにも減らなかった謎が解けた」満足感を漂わせるトレーナーと「想定外にデキるトレーナーで良かった」とご機嫌になった私の間に和やかな空気が流れ始めたその時。

「でもそれ、もっと早く言ってほしかったです~」

あ”?

InBodyの結果用紙をバインダーにしまいながら、トレーナーは再び天を仰いで素直な、この上なく素直な本音と思われる言葉をポロリ。

(心の叫び)ちょっと待て。もっと早く言ってほしかった?!もっと早く気ーづーけーよーーーー!!!プロでしょ?プロフェッショナルでしょ?!なんで、私より先にあなたが「この人、糖質制限ダメなんじゃないの?脂質代謝力がポンコツなんじゃないの?」って気づかなかったワケ?ねー、ねー、ねー。そっちが先に気付いてれば、もっと早く対応できたでしょーがっ!!(怒)

うーん…

いやまあ。私はこのトレーナーの発言、未だにちょっと「どーなのよ」と思っていますが、100%理系の相棒に言わせると「そりゃそうだよ!情報は少しでも多い方がいいんだから、そんなデータがあるんならもっと早く出せって思うでしょ」とのこと。

「君はトレーナーに怒ってたけど、その反応を聞いた時に俺はそのトレーナーをめちゃくちゃ気に入ったんだよ。本音が零れるあたり、いい人じゃないか」

相棒、我がトレーナーを大絶賛(--;

『もっと早く言ってほしかったです!』は確かに本音だと思います。思わず零れたんでしょうね(笑)

多分、トレーナーも私の体重・体脂肪の減りの悪さはある程度悩みの種になっていて、その原因はなんだろうと周りの人に心当たりがないか尋ねたりしてくれていたのかもしれません。

でもなぁ…糖質制限で体重が減る原理を考えれば、脂質代謝力に辿りつくのは時間の問題では…ブツブツブツ。

とまあ、こんな感じで私の一世一代の「糖質制限終了!」宣言は、予想していた反対もなくすんなりと受け入れられたのでした。

私の中では、ライザップが公式メソッドとして提供するわけではない脂質制限を勝手に始めることで、トレーナーからの食事管理サポートは受けられないものとして認識しており、この時点から食事レポートの送信はストップ。

食事内容がいまいちなら、トレーナーが何か言ってくるでしょ?と、トレーナーをセーフティネットとして使う気は全くなく、<脂質制限>そのものに関しては独力で頑張るしかないな、と覚悟を固めていました。

そしてこの日から、私のライザップなのに脂質制限で減量の日々がスタートします。


のちに、この時より少しだけ会話が増えた頃に分かったことですが、我が担当トレーナーはボディメイクを始めてからそれなりの年月が経っていて、ライザップに入るよりずっと前にアメリカのパーソナルトレーナー資格を取っていた、私の予想の右斜め上をいくハイレベルな人でした。

「ライザップのトレーナーなんて、どーせ糖質制限信者でしょ!」と怒りのあまり盲目状態だった私は、ごく稀にまともなトレーナーもライザップには在籍していて、幸運なことにそのうちの1人が自分の担当トレーナーだったことをこの時に知り、己の浅慮を猛省することとなりました(^_^;

ただ、「糖質制限終了!」を宣言したこの時点ではまだ担当トレーナーがそんなハイレベルな人だということは全く知らず、独りで孤独な「脂質制限」生活を始めたのでした。

結果的に、脂質制限に切り替えてから体脂肪のみで10キロ減を達成したので、この時の「糖質制限終了」宣言は間違っていなかったと言えるでしょう。

「あの時、(脂質制限に)切り替えてよかったですね」

卒業日のトレーナーのこの言葉に、私は満面の笑みで頷いたのでした。